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スポーツボランティア公開講座

開催報告 2018年度 第2回公開講座

2018年度 第2回公開講座
2018年度 第2回公開講座

2018年11月1日(木)に日本財団ビルにて公開講座「オリンピック・パラリンピックのボランティア ~リオ大会と平昌大会の活動報告と東京大会への展望~」を開催し、72名の方に参加いただきました。


第一部では、まず笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所主席研究員の澁谷茂樹氏より平昌大会の現地調査報告に関して、以下のようなお話がありました。
平昌は日本と同じ「アジア圏」×「非英語圏」なので、東京大会に向けて大きく参考になる大会と考えられます。平昌大会は募集人数に対して4倍強の応募があり、応募者の内訳は若い女性が最も多く、次いで中高年や外国人の応募も多くありました。また、障害があるボランティアの参加もありましたが、障害がある観戦者へのサポートは会場ごとに対応にばらつきがありました。
大会を通して特徴的だったことは、非常に多くのボランティアが笑顔で迎えてくれたことです。韓国人ボランティアは「国に貢献したい」という動機を強く持った方が多くいました。また、活動場所によって人員の過不足に差がありました。、今大会を視察して「リーダー・メンバー間でのコミュニケーション・指揮系統に関する問題」「会場内での多言語対応に関する問題」「障害者対策」「気候への対策」の4点は、東京大会に向けても非常に参考になることでした。


続いて、リオ大会にボランティアとして参加された東京外国語大学朝鮮語学科の田澤玲実氏から活動報告がありました。
人生で一度は日本と反対に位置する国に行ってみたかったことと、憧れのオリンピックに関わり、大学で学んでいる英語を使って活動をしたいと思いました。
私の配属は Language Service Team(言語ボランティア)で、Language Service全体の本拠地でもあった Main Press Center(MPC)の中で、英語を用いてメディア関係者対応・選手インタビュー翻訳・横断幕翻訳を行いました。業務のシフトは開催前にメールで送られてきました。基本的に1日の中で前後半に分けられ、1日の活動時間は6~8時間で、約2週間の活動のうち休みは4日間でした。
私は参加して本当に良かったと思います。オリンピックが非常に身近なものになりました。リオ大会のボランティア全体のうち20%が外国人と聞きました。活動の中でグローバルな友達ができ、英語に自信が持てました。また、自発的に動き、「やりたい」という意思を示す必要性を感じました。それによって得ることができる経験値も増え、想定外の活動もできました。迷って後悔するより、やって後悔した方が良いと思いました。語学力より伝えようとするパッション・力が大切だと思います。


第一部最後は、平昌大会にボランティアとして参加された、東京外国語大学ドイツ語学科の谷中美渚氏から活動報告がありました。
リオ大会でボランティアをした大学の先輩の活動報告会に参加したことで、言語を使って新しい挑戦ができたらと思いボランティアとして参加しました。
まず、ボランティアは大学の学生寮に泊まりながら研修を受けました。私の配属はモーグルとハーフパイプ会場で、活動内容は入口~競技場間の案内業務と問い合わせ対応のため英語を多く使いました。活動は15日間で、うち休みは3日間でした。
大変だったことは、韓国語が全く分からず、またリーダーに英語を話せない方が多くいたため指示が分からなかったことです。また、支給されたウェアは温かかったものの、それでも活動時間によってはとても寒かったです。
ボランティアで得たものは、ポジティブになれたことです。大変なことも多くありましたが、その後は「あの時頑張れたから、これからも頑張ろう」と思え、自分の支えになっています。同じ言語を話せる人同士だと絆がうまれるので、英語や他の言語をもっと頑張ろうとも思いました。ただ、難しい言葉は必要なく行動でも伝わるので、いっぱい笑ってコミュニケーションを取ることが最も大切だと思いました。


第二部では澁谷氏が進行役を務め、田澤氏・谷中氏がコメンテーターとして、客席からの質問に答える形でディスカッションを行いました。


質問者:模範となるような、また見本となるようなリーダー像とは?

田澤氏・谷中氏:現場で声をかけてもらえたのが嬉しかった。リーダーに褒められるとモチベーションが上がるので、一人ひとり気にかけて、声かけをしてくれる、そういった気配りができるリーダーは慕われるし尊敬されると思います。

澁谷氏:東京大会でも多くの調整型リーダーが活躍するように大会組織委員会と日本財団ボランティアサポートセンターが教材作り・研修をすると思います。


質問者:ボランティアの選考時に必要とされる競技の知識力はどのようなものですか?

田澤氏:まずは、知識よりもやる気が大事です。配属先に関する情報は、研修や実際の活動の中で得ることができます。また、参加が決まってから自発的に学習すれば良いと思います。

谷中氏:スポーツの知識はあまり必要ではありませんでした。私は休憩時間や休みの日に観戦しましたが、ボランティアの中には競技に興味がなくソウルに買い物に行った人もました。

澁谷氏:オリンピック・パラリンピックに限らず、スポーツやイベントのボランティアをするにあたっては専門知識がなくてもできます。お二人が話した積極性・自発性や、言語力よりも伝えようとするパッション・情熱が大切です。また様々な楽しみ方がボランティアには求められているのではないかと思います。


最後に、まとめのメッセージをいただきました。


田澤氏:東京大会のボランティアをしたいという気持ちが少しでもあるなら絶対参加した方が良いです。人生でオリンピックに携われる経験はなかなかありません。やらずに後悔するのではなく、まずは挑戦してみてほしいです。東京大会は、今の日本を体現する大会にできたらと思います。

谷中氏:ボランティアとしての参加には不安はあると思いますが、オリンピックを通じて価値観や考え方が大きく変わり、かけがえのない友達もできたので参加できて本当に良かったです。勇気を出して踏み出すからこそ得るものは凄く大きいと思います。東京大会で皆さんとお会いできたら嬉しいです。


澁谷氏:二人の経験に基づいたメッセージが皆さんの背中を押す一助になれば幸いです。


【報告者:大和田直子】


タイトル
オリンピック・パラリンピックのボランティア ~リオ大会と平昌大会の活動報告と東京大会への展望~
登壇者
澁谷茂樹氏(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所主席研究員、JSVN講師)
谷中美渚氏(東京外国語大学在学、平昌オリンピックにボランティアとして参加)
田澤玲実氏(東京外国語大学在学、リオデジャネイロオリンピックにボランティアとして参加)
日時
2018年11月1日(木)18:30~20:30
会場
東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル2階会議室
講座内容
  • 2016リオデジャネイロリンピック ボランティア活動報告
  • 2018平昌オリンピック ボランティア活動報告

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