2018年9月2日(土)、名古屋市市民活動推進センターにて、「オリンピック・パラリンピックのボランティア ~リオ大会と平昌大会の活動報告と東京大会への展望~」をテーマに公開講座を開催し、35名の方に参加いただきました。ロンドン、ソチ、リオデジャネイロオリンピックのボランティア経験を有する日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)特別講師の西川千春氏からは、「2016リオデジャネイロオリンピックボランティア活動報告」、笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所主席研究員でJSVN講師の澁谷茂樹氏からは、「2018平昌オリンピック・パラリンピック視察報告」をしていただきました。
西川氏からは、オリンピック・パラリンピック開催の目的、大義、ミッションの重要性、そしてボランティア参加の理由、動機など、ご自身の経験やロンドン大会の事例などを中心に解説をしていただきました。ロンドン大会は、「英国をスポーツ先進国とする」「都市の再開発」「次世代に夢と希望を与える」「持続的な生活空間のモデルとする」「観光、ビジネスにとって魅力的な国であることのアピール」を目的に掲げていました。24万人(募集定員は7万人) もの応募者の中から選ばれたボランティアは、大会の顔であり市民の代表とされ、自己実現の場として自身の能力と時間を提供するものであるとされています。ロンドン大会のボランティアは「Games Makers」と呼ばれ、現在も地域イベントでボランティアとして活躍を続けています。
澁谷氏からは、本年開催された平昌オリンピック・パラリンピックで調査したボランティア活動状況の報告をしていただきました。ボランティアは、総勢24000名のうち24歳以下の女子大生が8割で、中高年の参加者は、地元のボランティア経験者でした。障害のあるボランティアは、少なかったです。活動によっては人員の過不足があり、人が余っている所や足りずに「酷使」されている所がありました。待遇面では、ボランティア用の宿舎があったものの相部屋で、宿舎からバスで1時間以上と都市から離れた会場の多い冬季大会の特徴がでていました。閉会式では、ボランティアと選手が交流するといった一幕もあり、とても印象に残っています。ボランティアには、来場者対応など笑顔でおもてなしをする活動が多く、平昌でも「ボランティアは大会の顔」であると感じました。
東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集は、9月中旬と言われておりディスカッションでは、ボランティアに参加するための具体的な質問がなされました。名古屋わかもの会議が共催(主催JSVN)となり本講座を東京以外で初めて開催し、受講希望者が如何ほどか心配しましたがほぼ定員数に達し、ボランティアへの関心が高まっていると感じました。地方でのネットワークづくりのために、この様なイベントの必要性を感じる機会となりました。
【報告者:川谷拓図(名古屋わかもの会議)】