2017年11月9日(木)『医療法人が実践する心のケア研修~患者さんに対する聴き方をスポーツボランティアに置き換えて~』をテーマに公開講座を開催し、15名の方にご参加いただきました。講師は河北総合病院心のケアセンター長、河北恵美氏です。心のケアセンターは患者さんと医師との関係性だけではなく、患者さんの家族や職員も含め心のケアを実施しているそうです。「職員の心が健康でなければ患者さんの心のケアは実行できない」というお話が印象的でした。
講義では「聴く」スキル、「伝える」スキル、心を平穏に保つ~マインドフルネス・トレーニング~を学びました。最初の演習は耳から得た情報のみで絵を描き、描いた絵を他の方と比較しました。結果は伝え手の具体的指示が少ないことや聞き手のイメージに偏りがあり、かなり絵に違いが生じました。一方通行の情報提供は一方的コミュニケーションであり、人と人が分かり合えないということです。河北総合病院が実践している、相手を否定せず最後まで心を込めて聴くという、受容・傾聴・共感は容易いものではありません。日々の積み重ねが相互の信頼関係に繋がっていると強く感じました。また「きく」には3種類あり、「聞く」は耳に入る音を聞くこと、「訊く」は自分が知りたいことを訊くことで共に自分主体。「聴く」は相手の話を聴くことで相手主体。常に相手主体で背景にある気持ちを想像して「聴く」ことが大切であると学びました。
次の演習は、「話し手」「聴き手」「観察役」に分かれてリスニングチェックをし、それぞれの聴く態度、聴くスキル、改善ポイントについて評価をしました。「聴く」ことがコミュニケーションの要であり、聴くことで相手は自分の気持ちや考え方に向き合うことができ、傾聴することの重要性を再認識しました。また、伝えるスキルで重要なポイントは、Youメッセージ(「あなた」を主語にした伝え方)からIメッセージ(「私」を主語にした伝え方)にし、否定表現より肯定表現、曖昧表現より具体表現にすることです。アドバイスをする時は、相手に許可を得ることで相手は聴く準備ができます。さらに理解度、感想を相手に聴くことも重要だそうです。話の終え方は、次に繋げる、時間で区切る、ニーズを整理することが重要であり、無理にその場で解決策を出す必要はないということです。ついつい結論に急いてしまう自分自身に反省です。
最後にマインドフルネス・トレーニングを体験。過去や未来にとらわれず、"今この瞬間"に意識を向けることで集中しストレスから解放されるそうです。改めて自身のコミュニケーション能力で不足していた部分を知る機会となり、今後のボランティア活動・社会生活全てに活かせる貴重な体験ができた講座でした。
【報告者:川村 徹夫】