2017年2月15日(水)『東京2020開催地の歴史や文化等の再発見~他人への「伝える力」をみがく~』と題した公開講座を開催し、40名の方々に参加をしていただきました。
今回登壇していただいた澤内隆氏は教師として長年地理の教育に携わり、現在は東京に関する地理や歴史などを伝える活動に力を入れていらっしゃいます。今回は特にクイズやゲーム形式を取り入れ、参加者が地理や地名の由来などについて、より知りたいと思うようになったり、ボランティアをリードして行くにあたりコミュニケーションツールとしても役に立つ知識を伝えてくださいました。
澤内氏の話は、まず自己紹介から始まり「私の名前は、爽やかで内気なサワウチです」との紹介で会場が和やかになりました。参加者のほとんどがスポーツボランティアや東京都の観光ボランティアに携わっており、自分の名前を伝えることは1番大事なポイントになります。そして初めて会ったボランティアメンバーと良いコミュニケーションを取るのに必要なのは、一人ひとりの名前を大事にすることです。活動時に「そこのかた」とか「何番目のかた」とは言わないで、出来るだけ名前で呼ぶようすることが大事。人間が聞いて一番心地よいのはフルネームだそうです。名前で呼ばれて嬉しく感じて活動の指示を受けることができるという訳です。
次に、澤内氏の専門である地理の話しで、JSVNのある六本木の地名の由来からはじまりました。江戸時代その辺りに木に関係した名前を持つ大名屋敷が6つ(上杉・朽木・高木・青木・片桐・一柳)あったこと、また宿場町だったので馬をつなぐ木が6本あったと言う説もあるとのこと。地名の由来は基本的に地形や歴史、さらに伝説、言い伝えからつけられるのがほとんどらしく、このように土地の名前に関してその由来を知るだけでも、共通の話題となり、その地名に愛着が湧いてきます。愛着の湧いた場所でのボランティア活動はより楽しくなると感じました。「地球を理解すること、地域を理解すること、そして地縁を理解することが本来の地理と考えています」とのことでした。さらに東京都23区全ての名前の由来を教えていただき、澤内氏のスピーディーな解説に、参加者一同楽しみながらも感心しきりでした。
続いて、国際大会等で使用される国旗についての奥深い解説がありました。国旗はその一つひとつに大事なメッセージを表現しています。その国の環境、文化、宗教、自然そして誇りに思っている物などを象徴として表現しているので、一見簡単なデザインに見えてもバランスも含めて注意しなくてはならないとのこと。現在、小・中学校で教えているのは196ヵ国(外務省の資料)になります。色使いの例として、アジアでは太陽の赤を意味するものや水田の緑を使っている国があり、中近東では月と星が多く使われている。それは昼間が非常に暑い砂漠ではキャラバンの移動はほとんど夜のため、月と星が多く使われているとのこと。また、イスラムの国々の緑は、マホメットのターバンが緑だったからと言われています。似ていると感じる国旗も多いが、その国の国旗を大事にすることが、その国を尊重する事にもなります。
最後に、話の伝え方のパワーアップ術の話しがありました。ポイントは「3」です。3を使うと話がまとまり、内容に抜けがなくなるとのこと。まず、“これから3つの話しをします”と言う形で始めると聞き手を安心させることができます。次に「3秒間のアイコンタクト」。1秒で存在の有無を確かめ、2秒でどんな人かと考え、3秒目で感情がこもるそうです。4秒・5秒になると、うるさく感じることがあるので気を付けなければならない。プレゼンテーションなどで多くの人の前で話をする時は、内容自体を3つに分けるとまとまります。3と言う数字は安定感があると言われ、3に関しての著書もありますので良かったら読んでみてはとのこと。
講座は終始、笑顔と“へえー”“ほー”などの感嘆詞に満ちていました、さらにこれから自分たちでも調べてみたいとの感想を持った参加者が多くいたようでした。
【報告者:及川 登代子】
タイトル |
『東京2020開催地の歴史や文化等の再発見
~他人への「伝える力」をみがく~』 |
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登壇者 |
澤内隆(JSVN特別講師、東京コミュニティーカレッジ副理事長、
東京都レクリエーション協会理事) |
日時 |
2017年2月15日(水)18:30~20:30
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会場 |
東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル
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講座内容 |
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