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地域にボランティアが根付く街
仙台で次世代にスポーツをつないでいく

泉田 和雄さん

Izumita Kazuo

[所属] 市民スポーツボランティアSV2004 代表理事

JSVN講師
ボランティア経験20年

INTERVIEW 01 スポーツボランティアを始めたきっかけを教えてください

縁もゆかりもなかった仙台という土地
地域とのつながりを持ちたかった

現在、私は仙台を中心にスポーツイベントの手伝いなどをしています。元々仙台には縁もゆかりもなくて、就職で仙台に来ることになりました。仕事を中心とした生活をしていて、40歳を過ぎたころにふと思いました、「このまま退職したら地縁もなければ血縁もない土地に、知り合いがいなくなる。何か地域につながってできることはないかな」と。
そう思っていたころに、Jリーグが発足し、宮城にもブランメル仙台(現在のベガルタ仙台)ができました。さらに1996年に「プロスポーツとまちづくり」というテーマで仙台市が市民研究員を募集しました。仙台市というのは、スポーツ以外にもいろいろな文化活動に市民が主体的に参加する面白い町で、私がちょうど地域のコミュニティに興味を持ち始めたときの募集でテーマにも関心があり、すぐに応募しました。その後、研究員として活動していく中で、地元のブランメル仙台を調べていくと、財政的に厳しい状況があったのです。当然、財政が厳しければチーム存続が危うくなる可能性もあります。地元のチームをなくさないようにするにはどうすればいいかなど、研究報告書の中に必死にいろいろ書き提案しました。その結果書いた以上は形にしなければいけないという責任感から、ボランティアとして地元チームを支える道に進みました。
それが1998年でした。その後サッカーを中心に活動し始めましたが、特に宮城県は、FIFA日韓ワールドカップ開催地のひとつでもあり、2000年に県のワールドカップ推進室が、市民で応援し活動する組織を作ったことでさまざまな機運醸成やワールドカップ周知の活動に携わることができました。今ではサッカーだけでなく、プロ野球、バスケットなどプロスポーツ全般のボランティアのほか、行政組織と連携してスポーツイベントをサポートしたり、仲間と共にボランティアの育成や、交流、情報発信をしたりと、積極的に取り組んでいます。

INTERVIEW 02 スポーツボランティアの育成はどのように行っていますか?

研修を受けたことで満足しない
そこがボランティアのスタートライン

ボランティアの活動を維持するために、常に新しい人材を育てていかなければなりません。ボランティアの参加者を増やすために入門セミナーを開催したり、スポーツに関わっている方々に来てもらって勉強会も企画したりしています。最近は他の組織と連携して研修会も行い、多くの人が参加するようになりました。大切にしていることは、研修会を受けることが終わりでなく、それが出発地点ということ。ですから研修を受けていただいた方には、実際に現場でボランティア活動に参加してもらい、その後も継続できる流れを作っています。また地元の中学生、高校生を対象としたボランティア体験のイベントを開き、座学で基本を知ってもらうなど、次世代にボランティアをつなぐ活動も行っています。「楽しい活動は与えられるのを待つのではなく、自分で作り出す」、彼らにはこの感覚を体験してほしいと思っています。

INTERVIEW 03 今まででいちばん思い出に残るボランティア活動とは?

ボランティアを通して
最大の笑顔が生まれた

東日本大震災のあと、緊急東北スポーツボランティアサミットを開き、集まった50人ぐらいの方と「こういうときスポーツボランティアは何ができるのか」ということを、夜を徹して話し合いました。サミットで出た結論は、「スポーツで笑顔を未来へ」というもの。当時はまわりの人の表情から笑顔、特に子供たちの笑顔が消えていましたから。2011年に仙台で行われたプロ野球のオールスター戦で、まさにその笑顔が生まれる出来事がありました。
オールスターには約5000人の岩手・宮城・福島の子どもたちを招待しました。バスの送迎発着だけでもたくさんのボランティアが必要になります。地元の人間だけでなく全国各地にボランティアを呼び掛け、最終的に120人近い方が集まってくれました。
実はその時ボランティアとして地方から来ていた参加者の2人が、オールスター戦のボランティア活動をきっかけに出会い、お付き合いを始め、その後なんと結婚。お二人は婚姻届けを出し、本籍地を二人が出会った野球の球場にしてくれたのです。その後お2人が楽天イーグルスの交流戦を観戦しに仙台の球場に来たとき、事前に球団にお願いして、サプライズでスクリーンに「結婚おめでとう」という表示を出してもらうことに。あのときのお二人の笑顔、今でも忘れられません。

INTERVIEW 04 地域にスポーツが根付いた街、仙台。スポーツボランティアが浸透、成功している理由は?

市民が積極的
自然発生的に生まれる新たな動き

「仙台」は市民が文化を作ることにとても積極的な町です。そしてその活動に対して行政もサポートしてくれる。私たちのボランティア団体に市の職員を派遣してくれ、市民協働を理解しようという取組(NPO留学)もあります。存在を認めていただいたのは、定期的に開いている研修会が役に立ったのかなと思っています。このところサッカー、野球、バスケットなど各分野の関係者や行政やメディア、大学などそれぞれの分野の方と一緒に「スポーツサポーターズネットワーク」という活動を始めました。「スポーツで地域を元気にしよう」という趣旨ですが、このスポーツを通じた異業種交流会を通して、いろいろな人のつながりが生まれ、新しい動きが出来ていく。こちらから何かアクションを促すのではなく、自然発生的に生まれてくる。そこにまたボランティアの関わる場が生まれる、いい循環ができていくのではないかと思います。

INTERVIEW 05 2020年東京大会でボランティアはどのように変わると思いますか?

プラスアルファの活動で
自分の可能性を広げて欲しい

これまでの経験を通して、どんなスポーツやイベントでもそうですが、地域の支持や支援がなければ大会もなくなるしチームもなくなるという気持ちを持った上でボランティアに参加しないといけないと思っています。去年、私たちも地元のバレーボールチームを無くしてしまいました。子供たちが次の時代を楽しんでいくためにも、スポーツを見る場を減らしたくはない。オリンピック・パラリンピックにボランティアとして参加するのも同じことで、数十年後、また日本にオリンピックを招致するためにも、大会を成功させたいです。
2020年東京大会のボランティア活動は、ルールやマナー・活動内容は決められた範囲の中でのものになるかもしれないですが、自分たちで工夫し提案していける部分もあるはずです。スポーツという枠の中だけで考えないで、地域が良くなったり暮らしが良くなったりすることも考えながら活動できると、旧来の壁などを壊していけるのかなと思います。オリンピック・パラリンピックという世界最大のスポーツイベントは、とても可能性のある大会ですし、自分たちに与えられた役割から一歩進んだプラスアルファを考え大会後に通じる、自分の可能性を広げて欲しいと思います。

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