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2019-10-08

オリンピックボランティア
ーそれは「人生最高の2週間」ー
#2 大会を迎えるまでの道のり 

西川 千春さん

Nishikawa Chiharu

[所属] 笹川スポーツ財団特別研究員
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 ボランティア検討委員
日本スポーツボランティアネットワーク特別講師

オリンピックロンドン大会から、ソチ、リオと過去3大会にボランティアとして参加した経験をもとに、スポーツボランティアの楽しさを伝えるコラムを連載します。(全6回予定)

国際的メガスポーツイベントに当事者として参加することで得られる感動や舞台裏など、実際に起こったさまざまなストーリーを綴っていきたいと思います。「人生最高の2週間」の興奮をぜひ体験してください。

#1「全てはロンドン2012から始まった」

#2「大会を迎えるまでの道のり」

ありのままの自分で

2019年9月、東京2020大会 大会ボランティア「Field Cast(フィールドキャスト)」8万人が決定したと発表されました。10月から2020年2月までは共通研修が行われ、大会開幕まで研修が続きます。

ロンドン大会を思い返してみると、大会活動日の初日を迎えるまでの道のりは長く、心配が続く日々でした。大会ボランティアへの申し込みをしたのが大会約2年前の2010年9月。年が明けた2011年1月に1対1の厳しい面接を受け、ようやく採用と配属通知を受けたのが10月初めでした。つまり1年間の忍耐が続き、正直なところ応募していたことを忘れかけ、あきらめかけていました。そんな中、節目節目で送られてくるメールを読んで「まだ認識されている!」「大丈夫かもしれない」とモティベーションを保っていたのです。

面接もプレッシャーがありました。「困難に直面した時にどのように乗り越えたのか」、「リーダーシップを発揮して目的を到達した経験を語れ」といった内容で、就職のインタビューに近い内容でした。とはいっても、人生のキャリアや収入といった要素は全く関係ありません。「自然体で行こう」と決心し、ありのままの自分を語りました。そうして受け取った採用と配属通知は何物にも代えがたい連絡でした。

3つの研修と実践で得た経験

配属先はエクセルセンター、言語サービス(略称LAN (Language Service))。卓球、柔道、レスリング、ボクシング、重量挙げ、フェンシング、テコンドーの7競技が開催された会場で、試合直後の選手インタビューを通訳することが主な役割です。ところが、配属通知を受け取った時点では実際にどのような活動になるのか全く見当がつきません。不安だらけです。それでも同じく「どうにでもなれ!」「きっと楽しいに違いない」「なんと24万人から選ばれたんだ」という興奮が不安を上回っていたのです。

年が明けた2012年に、配属通知を受け取ってから最初に行われたのがオリエンテーションです。数回に分けてロックコンサートも行われる大きな会場に数千人ずつ集められ、ロンドン大会の全容やボランティアについてのビデオが流れ、タレントや歌手も出演するボランティアの士気を高めるためのイベントといっていいでしょう。

その後、共通研修、担当する役割別の研修、配属会場についての研修と3つを受講しました。特に役割別研修はロールプレーを含め非常にリアルで多くのヒントを得ることができました。今まで経験したビジネスでの通訳とは違い、スポーツ大会ではエンターテインメント性があるために演技の要素が含まれます。特に映像に音声が重なるビデオインタビューでは特に重要です。ウサイン・ボルトのユーモアにあふれたコメントを通訳する練習はかなりの難易度です!

実は3つの研修前にもう1つのチャレンジがありました。テストイベントです。テストイベントとは、通常は国際競技連盟が主催する大会を大会組織委員会と共同で開催し、本番と同じ会場、機材などを使って技術や運営上の問題点をリストアップし本番に向け改善してゆくための重要なステップです。

私が参加したのは国際卓球連盟(ITTF)が主催するプロツアー(現ワールドツアー)のグランドファイナル。日本の水谷準選手、福原愛選手、石川佳純選手なども含め世界のトップ選手たちが参加する大会で本番同様の試合後インタビューを通訳することになったのです。大会公式報道機関のプロたちと一緒に仕事をしながら卓球用語の復習、有名選手の名前を覚えることなど非常に勉強になりました。特に卓球では重要なことがあります。それは日本では日本語読みしてしまう中国選手の名前をきちんと中国語読みすること。卓球の国際イベントでは世界女王、丁寧を「ていねい」なんて言っても通じません。Ding Ning (ディン・ニン)と呼びます。他の競技でも同様なのですが、何しろ卓球は中国選手が軒並みメダルを獲っていってしまいますので特に気を使う必要があります。研修よりも勉強になったというのが率直な感想です。
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写真:オリエンテーション会場の様子

大会直前にビックサプライズ!

こうして様々な研修をクリアしていくと、本番直前に興奮を盛り上げるサプライズが待っていました。なんと、組織委員会から「開会式の最終リハーサルにボランティアの皆さんを観客として招待します」とメールが届きました。
最終リハーサルはドレスリハーサルと呼ばれるだけにパフォーマーも本番衣装で臨みます。そして雰囲気を盛り上げるためにも8万人収容のオリンピックスタジアムの客席を限りなく埋めるように考えたのでしょう。その観客役として我々ゲームズメーカーに出番が回ってきたのです。ほとんど本番と同様に進行しましたがところどころ出演者がいなかったり、端折ったりして意味が分からないところもありました。特に急にヘリが上空を旋回し、007のテーマ音楽が流れたのには??です。これは実際の開会式をテレビで観てようやく納得できました。ジェームス・ボンドと女王陛下がヘリから飛び降りるという例の演出です。さすがイギリス!
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写真:開会式会場となったロンドンオリンピックスタジアム

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