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2019-09-19

「TEAM NO-SIDE」で、一生に一度の経験を創ろう

佐藤 洋平さん

SATO YOHEI

[所属] 公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会
人材戦略局人事企画部 主任 トレーニングマネージャー

組織委員会に入ったきっかけと役割は?

ラグビーワールドカップに関わりたい
――そう思ったのは10年前

ラグビーワールドカップ2019組織委員会の人材戦略局人事企画部で主任を務めています。主な役割は職員とコントラクター(受託業者)、ボランティアの三者が連携し、大会を円滑に運営できるようトレーニングすることです。

組織委員会に入ったのは2018年4月です。小学校から大学までずっと体育会でラグビーをやっていて、引退して社会人になった2009年の夏、ラグビーワールドカップ2019の日本開催が決まりました。その時、「10年間キャリアを積んで、ラグビーワールドカップには何かしら絶対関わるぞ」と強く思ったんです。

また、2015年のラグビーワールドカップ2015イングランド大会をプライベートで観戦に行ったのですが、会場の雰囲気が素晴らしくて、「これが日本に来るんだ!」と感銘を受けました。同時に、「本当にこの雰囲気が日本で実現できるのか」と危機感も覚え、「何とかしなければ」と勝手に思いました。

その後、縁あって希望通り組織委員会に転職できました。入ってすぐに、ボランティアプログラムのプリンシプル(Principle)作りに関わりました。プリンシプルというのはボランティアの行動指針や心構えを示すもので、過去の大会でも作られています。

僕が加わった時点で、公式ボランティアプログラムの名称は、「NO SIDE(ノーサイド)」が決定していました。これは「試合終了」を意味するラグビー用語で、笛が鳴ったら敵と味方の境がなくなり、互いにリスペクトし、労をねぎらい合う様子を表します。実は今、試合でNO-SIDEを使うのは日本だけ。つまり、日本が独自に育んできたラグビーの精神でもあります。

この精神をボランティアプログラムにも取り入れ、観客を分け隔てなくおもてなしし、大会や日本を楽しんでもらおうという思いが込められています。

プリンシプルとはどんな存在で、なぜ必要だと思ったのでしょうか?

多様な人を束ねる軸、プリンシプルはNO-SIDEで表現

調べてみると、過去の大会のプリンシプルはどれも本当によくできていて、やはり日本にも必要だと思いました。というのは、日本大会のボランティアの応募データによれば、ラグビー経験者は10人に1人、逆に約半数はラグビーを見たことがない人でした。多様な人々の異なる個性や価値観を束ねるには、共通の目標や重視するものを示す「軸」が必要だと考えたからです。

最初に共通のゴールとして「TEAM NO-SIDEで創ろう。一生に一度を創ろう」を掲げました。そのゴール達成のために持つべきマインドや行動を「NO-SIDE」の各アルファベットから発想して表現しました。

具体的には、「Now or Never(今こそ好機)」、「Open Mind(開かれた心)」、「Smile(笑顔で活動しよう)」、「Imagine(想像しよう)」、「Do(行動しよう)」、「Enjoy(楽しもう)」の6つで、頭文字をつなげると、「NO-SIDE」になります。

このような共通のゴールや持つべきマインドや行動を総称してプリンシプルとして整理し、活動中に困ったり迷ったりしたときにも立ち戻って拠り所にしてほしいと考えました。プリンシプルをまとめた冊子や映像も作り、オリエンテーションなどでボランティアに繰り返し紹介し、心に留めてもらえるよう努めました。

ボランティアトレーニングの設計にも携わられました。重視した点は?

世界観や基準感を伝え、一体感を作り出す

ボランティアプログラムのトレーニングの設計は初めてでしたが、まずボランティアの活動に重要な要素は何かを考え、そのために必要な能力や人材の要件を整理してキーワード化し、それをトレーニングに落としこみました。人事畑にいた前職の経験が生きましたね。

ただし、全体の設計には苦労しました。一般に研修プログラムを作る場合は、目的がこれだから、このトレーニングが必要で、この人数規模であれば、このような場を設計しようと目的や人数規模から逆算して構築します。でも今回は、昨年の今頃はまだまだ調整中の部分が多く、トレーニングをどう実施していくか、決めなければいけないことが多い状況でした。

そういった状況の中で何を伝えるべきかと考えた時に、我々が考えているボランティアプログラムの想いであったり、考え方であったり、TEAM NO-SIDEの皆様と創り上げていきたい世界観をお伝えしたいと考えました。細かな部分は大会が近づくにつれて徐々に具体化されることを見越しつつ、まずは大上段のコンセプトをしっかりとお伝えしたい、多様な方がいらっしゃるからこそ、共通の目的をクリアにしたいと考えました。

そういう意味で、うまくいったと思える仕掛けは、オリエンテーションのスピーチをトークのプロに依頼するのではなく、全12会場すべてで当組織委員会の地域支部のボランティア担当に担ってもらったことです。やはり現場の運営を担う当事者自らが思いを自分の言葉で表現し、共に活動する人々に語るほうが絶対に伝わると思ったからです。

最初は乗り気でないと思われる方も正直いましたが、そこは信念をもって、説得しました。話す内容について「ここだけは押さえて」というアウトラインを設定した以外は余白にしましたが、結果的にそれぞれが使命感を持って下準備をして臨んでくださり、どの会場でもとても思いのこもった話をしてくれました。

おかげでボランティアとの一体感が醸成され、すごく効果的だったと感じています。やはり、現場で実際に接する人が話したことでストーリーやリアリティが持てたのでしょう。思い切ってチャレンジしてよかったです。

大会ボランティアに今、期待することは?

「大会の顔」という意識と活動を楽しむ気持ちを!

開幕を目前に控えた今、僕自身は「これ以上はやれない」と言えるほどやるべきことはやったし、トレーニング期間を通してボランティアの皆さんに伝えるべきことは伝えたつもりです。思いは、「しっかり伝わっている」という手ごたえもあります。

そこで今、ボランティアの皆さんに期待することは二つです。一つは、「ボランティアは大会の顔」という意識を持って、会場でラグビーワールドカップの特別感や雰囲気作りを体現すること。もう一つは、それぞれがやりたいと思うことは後悔なく何でもやって、「楽しかったね」と大会を終えてほしいということです。

余談ですが、僕は今、ボランティアという体験ほど人が成長できる機会はないのではないかと改めて感じています。何が起こるか分からない現場で臨機応変に活動する経験ができ、普段会うことがないような人たちとの出会いがあります。いろいろな価値観の人と協力し、一つの目標に向かって取り組む経験は貴重です。多くの学びがあり、視野を広げられます。

僕は前職で人材育成や研修にも関わってきましたが、研修会や講演会に参加するのと同等の効果がボランティア経験にはあるのではないでしょうか。今後もできるだけ多くの人にボランティアに挑戦してほしいなと思っています。

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